こないだ日本刀の製造過程を収録した動画を見たらめちゃくちゃ面白かったので、忘れないうちに製造過程をメモっておこうと思う。(とくに意味はない)


 一、玉鋼を火床(ほど、と読むらしい)にいれてふいごで煽って熱し、叩いて薄く延ばす。これを水で急冷して脆くして、こまかく割る。

 二、割った玉鋼の品質を厳選して、炭素量の多いものを選んで、インゴットのかたちに組み上げ、それを濡れた和紙で包み、(黒い)藁灰をつけ、泥水を塗って、火床で熱し、これを叩いてまとめていく。藁灰は不純物をとりのぞくためで、泥水は酸化を防ぐためらしい。

 ちなみに槌でがっちんがっちん叩くたびに鋼の塊から剥がれ落ちてくるのは、酸化鉄と不純物らしい。だから刀はちんたら打ってたらどんどん痩せていってしまうということだろう。

 三、まとまったインゴットを、槌で叩いて延ばしては折り曲げ、延ばしては折り曲げを、十五回ほどくりかえす。こうして多層構造をつくる。

 四、その鋼のかたまりの間に、炭素量の少ない玉鋼をあつめて作った割合柔らかい鋼を挟み込む。硬い鋼が外側になり、やわらかい鋼が芯になる。

 五、これをひたすら叩いて刀のかたちに形成してゆく。

 六、刀の形になったら、両手で持つ特殊なヤスリでもってごりごり削り、形を仕上げていく。焼き入れ前なので割合柔らかいようだ。

 七、刃のほうに泥を薄く、腹と背のほうに泥を厚く塗る。焼き入れのときに冷却スピードの差がついて、刃文ができる。

 八、焼き入れをする。夜に行われる。800度が目安らしく、その温度になると柿色に輝くようだ。このときに温度調節が完璧にいくと、刃文の外側に、映りという模様ができるという。それから火であぶって焼き戻しというのをする。たぶん200度くらいで水につっこむ。これをやると粘りが出るらしい。

 九、荒く研いで銘を切って、研ぎ師に出す。


 はるか昔、釘をコンロで熱して叩いてナイフをつくろうとしたことがあるが、棒状のものに普通に刃をつけようとすると、自然と刀の形に近づいてくるようである。刀鍛冶てのは全般そうだけど、実に自然に沿った合理的なやり方をしているのかなと思った。占いもかくありたいものです。ちなみにふつうの釘はだたの鉄なので、これをいくら叩いても刃物にはならない。せめてやすり以上の硬度のもの、鋼鉄が必要。ただやすりは硬いので、高い温度の出る炉が必要になる。打っても打ってもなかなか溝がなくならない。

 刀鍛冶にもそれぞれ個性があって、ホウ砂を使う人と使わない人、ハンマーの機械を使う人と使わない人、いろいろいるようだ。それからたたら製鉄で13トンの砂鉄から1トンほどしか玉鋼が取れないというのは驚いた。化合してる酸素が飛ぶのは分かるが、ほかはどこにいっちゃうんでしょうね。