再占は駄目だという結論を出したのは卜占を本格的に練習・研究するようになったばかりの頃だったから、もうだいぶ前になる。それからたまに試しているが、はっきり言っていい印象はない。未だに「再三瀆。瀆則不告」は卜に共通の重要なセオリーだと思っている。だから増刪卜易に再占の例が出ているのを見たときには、強烈な違和感を覚えたものだった。しかし、あれから増刪卜易の断易観(卜占観)がいくらか分かるようになってきて、状況によっては(占機を壊さず丁寧にやれば)あるいはと思って、試しに天気占で応期を絞り込むために再占をやってみた。読みづらい卦だったが、いちおう応期をひとつふたつに絞り込んで的中させることに成功した。それで気をよくして勝負占でいくつか試してみた。ひとつは判断ミスで、三つ卦を立てて悩んだ末に勝ちとしたところが終盤に追いつかれて引分に終わった。一つは再占したもののかなり微妙な卦ばかりが出て、引分としたところがこれも終盤勝ち越された。三試合目でようやく分かりやすいのがふたつ目に出て勝ちと断じ、大差で勝った。試合の途中からも占ってみたが、これは二つ占って二つとも当たった。もっとも、前半2-0から勝ち切れるか、後半2-2の状態からどうなる、というものだったので、そう当てにくいものではなかった。いずれにしても、めちゃくちゃな卦は不思議と出なかったし、混線もなかった(内容は重複が目立ったが。例えば応爻に申が入るのが続いたり)。分かりにくいなりに結果と応じてはいた。ちなみに他に三試合占って、これらは再占するまでもないと思ったので一発で断を下した。二つは、点差をつけて的中。一つは笑ってしまうくらい裏に出た。思い当たることが幾つかあるので、今後の練習のなかで明らかにしていこうと考えている。

 やってみた感じ、再占は、占機を見極める・捉える力と、卦読みの力さえあれば、充分に可能であると思った。むしろ「恍惚とした」卦が出た場合には再占したほうが道理にかなうというケースも少なからずあるのではないか。ただ、再占には、疑いを明らかにしてくれる効験はあっても、間違いを指摘してくれる機能はないようだ。だから間違った前提のうえに立ってしまえばもうどうしようもない。無意識のうちに先入観や期待、不安に囚われるということがあるので、その点には十分、注意を払う必要があるだろう。それから卦読みの力が不足しているためにわかりやすい卦を求めて再占するというのもダメである。ある程度卦を見て読みを絞り込んで、しかし断定しきれない、というときに再占をすべきだと思う。つまり、増刪卜易の論はまったく正しい。(言うまでもないが、結果が受け入れられないという理由での再占は問題外である。はっきり示されたならそれ以上しつこく問うべきではない。誠実に読んでも分からない、断じきれないときにだけ再占すべきである)

 練習で勝負占をしていると、接戦になりそうなのは分かるがどっちに転ぶか分からない、引き分けになるか最後の最後で決着がつくか読み切れない、ということが多々ある。こういうのに断を下すには、卦ひとつだけではなかなか大変なこともある。再占の技術を身につければ、こういうのを綺麗にさばけるようになるだろうし、なにより実用のうえでかなり強力な武器になってくれるのは間違いない。ちょっと試してみた感じでは、やれないこともなさそうなので、本腰をいれて研究・練習をしてみようかと思っている。

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 でも、よい子はまねしないほうがいいと思います!

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 これはあくまで僕の意見だが、一発目の占いはその都度、ある程度時間をあけてやったほうがいいが(10分では短すぎる。30分あれば割合安定する)、再占は即時でも大丈夫なようだ。