現在、二十四節気は地球の公転軌道を角度で24分割して定められている。これは中国では明末清初に時憲暦に、日本では江戸末期に天保暦に改暦されて以来のことだが、それ以前は平気法といって、一年を時間で24分割して二十四節気を算出していた。

 地球の公転軌道は楕円を描いているので、時間で24等分するのと、角度で24等分するのとでは、節気の日付が多少違ってくる。旧暦の月は、朔(新月)と朔のあいだにどの中気を挟むか(あるいは挟まないか)によって月数や閏が決まる。したがって、平気法を取るか、定気法を取るかで、いつ閏月を置くかが変わってくるのだ。当然、暦月を採用している僕にとっては、月建、月干支も変わってくることになる。

 たとえば、来年は定気法旧暦(一般的な旧暦)では年明けは1月22日だが、平気法で暦を作ると2月20日になるようだ。雨水の日付が朔の日付をまたいでしまうのだ。

 占術的にどの暦が正しいのかは理屈だけでは云々できない面がある。たくさん検証してどちらがより「合っている」かを主観的に判断するほかない。が、その検証をするまえに平気法旧暦がわからないとどうしようもない。

 時憲暦や天保暦はかんたんに手に入るが、あいにく、それ以前の平気法旧暦はネットで探してもちっとも見つからない。おそらくニーズがまったくないのだろう。となると、自作するより他にない。

 定気法は二至二分を正確に反映するので合理的であることは間違いないのだが、個人的には、平気法旧暦のほうが正しい(というか、占術上、よく機能する)可能性も、大いにありうるのではと思っている。どのみち検証しなければならないなら、早めにやったほうがいい。

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 一年は365.2422日だ。これを12で割ると、約30日10時間29分4秒。従って、冬至の日時にこの数字をくりかえし足していって、大寒、雨水、春分、穀雨、小満、夏至、大暑、処暑、秋分、降霜、小雪、冬至を出していけばよい。算数力の問題だ。

 それに朔(新月)をはさんでいき、中気を含まない月を閏とすればよい。こうすれば平気法旧暦を作れる。朔から朔までは平均すると約29日12時間44分3秒だそうだが、地球の公転軌道が楕円でありその速度が一定でないため、年間で数時間伸び縮みする。これは計算で出すのは難しい。もっとも朔自体は節気とは無関係なので、旧暦カレンダーをそのまま使っても構わない。

 で、来年一年間をざっと計算してみた。

11月朔:22年11月24日
冬至:22年12月22日06時47分
12月朔:12月23日
大寒:23年1月21日17時16分
閏12月朔:23年1月22日(定気法では旧正月)
1月朔:2月20日(旧正月/定気法では2月)
雨水:2月21日03時45分
2月朔:3月22日(定気法では閏2月)
春分:3月23日14時14分
3月朔:4月20日
穀雨:4月23日00時43分
4月朔:5月20日
小満:5月23日11時12分
5月朔:6月18日
夏至:6月22日21時41分
6月朔:7月18日
大暑:7月23日08時10分
7月朔:8月16日
処暑:8月22日18時39分
8月朔:9月15日
秋分:9月22日05時08分
9月朔:10月15日
降霜:10月22日15時37分
10月朔:11月13日
小雪:11月22日02時06分
11月朔:12月13日
冬至:12月22日12時35分
12月朔:24年1月11日
大寒:24年1月22日01時04分
1月朔:2月10日(旧正月)

 もし定気法が正しいのなら、23年1月22日から癸卯年甲寅月、23年2月20日から乙卯月となるが、平気法が正しいのなら1月22日から壬寅年癸丑月、2月20日から癸卯年甲寅月、となる。3月22日からはともに癸卯年乙卯月だ。

 という訳で、来年1月22日から3月21日まで、みっちり検証をやりたいと思う。